今ちょうど中学3年の息子が学校で平方根を習っているらしい。
というわけで、平方根について、適当に書いてみる。
まず、平方根とは何か。
ある数$a$の平方根$r$とは、$r$を二乗した時$a$になるような数のこと。
つまり、$a = r^2$を満たす$r$を$a$の平方根と呼ぶ。
たとえば、$a$が4なら、$r$は$2$と$-2$の二つ。
一般に一つの数の平方根は二つある。(例外として$0$の平方根は$0$のみ)
問題1:任意の整数の平方根は整数になるか?
これは簡単。
答:平方根が整数でない整数が存在する。
例えば$3$の平方根は整数ではない。
でもそれってどうやって証明するのか。
直感的な証明:
$1$の二乗は$1$、$2$の二乗は$4$となるかから、$3$の平方根は$1$と$2$の間にある。
しかし、$1$と$2$の間には整数は無いので、$3$の平方根は整数ではない。
この証明では、$a,b$がともに正の整数のとき $a^2 < b^2$ ならば $a < b$ というのが前提となっているが、これは自明ではない。
ということで、そこも含めて証明してみる。
もうすこししっかりとした証明:
$a,b$はともに正の整数とする。
$a^2 < b^2$ の時、$b^2 - a^2 > 0$ の式を変形して $(b-a)(b+a) > 0$
この時$a,b$はともに正なので、$a+b$は正、したがって、$b-a$も正となる。
よって、$b > a$
以上より、$a^2 < b^2$ならば$a < b$
$r^2 = 3$ となる数を $r$ とすると、$1^2 < r^2 < 2^2$ となり $1 < r < 2$ となるが、このような整数は存在しないので、$r$ は整数ではない。
問題2:任意の整数の平方根は有理数になるか?
答:平方根が有理数にならない整数が存在する
証明:
$3$の平方根を$\frac{m}{n}$($m,n$は整数で互いに素)とする。
すると、$3 = (\frac{m}{n})^2$より
$3 = \frac{m^2}{n^2}$
$3n^2 = m^2$
となる。
$n^2$は整数なので$m^2$は$3$の倍数
$m$は整数なので$m^2$が$3$の倍数であれば、$m$が$3$の倍数でなければならない。
従って$m = 3l$となる整数$l$が存在する。
これを$m$に代入すると$3n^2 = (3l)^2$となり
両辺を$3$で割ると$n^2 = 3l^2$となる。
$m$の因数$l$と$n$は互いに素なので先と同様$n$は$3$の倍数となる。
しかし、これは$m$と$n$が互いに素という条件に反する。
従って$3$の平方根は有理数ではない。
ということで、平方根が有理数でない整数が存在することがわかった。
ここまでは平方根の性質の話
次に平方根を計算することを考えてみる。
中学校では平方根の計算方法を習うんだろうか?
教科書をぱらっとみた範囲では出てこなかったように思う。
まぁ、今時電卓叩けば数値は出るので必要ないけど開平法くらいは知っておいて欲しいものだ。
で、その開平法ではない別の計算方法として、バビロニアのアルゴリズムというのがある。
これは計算機向けの計算方法で、足し算と割り算だけができれば計算ができてしまう。
具体的な方法は次の通り
ある数$S$の平方根を求める。
1.$R_0$を適当に決める(できるだけ$S$の平方根に近い値が良いが、どんな値から始めてもよい)
2.$R_{n+1} = \frac{R_n + \frac{S}{R_n}}{2}$ として、$R_{n+1}$を計算する。
この計算はかなり素早く収束していく。
たとえば、3の平方根を初期値1から初めて計算すると
$R_0 = 1.0$
$R_1 = 2.0$
$R_2 = 1.75$
$R_3 = 1.7321428571$
$R_4 = 1.73205081$
$R_5 = 1.7320508076$
となり、5回の計算で小数点以下10桁までの値が得られる。初期値をもう少し工夫するともっと早く収束する。
筆算では開平法というのがあって、平方根を計算することができるけど、コンピュータでやるときはこんな感じで計算することができる。
今時のパソコンなら平方根の計算くらいならFPUが勝手にやってくれるけどね
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