さて、調子にのって、その2を書いておこう。
一応積分編はここで終わって次は微分の話をしたいと思っている。
その前に、なぜ、微分・積分と、微分の方を先にいっておきながら、積分の話をしているのかというと
微分・積分は学校では確かに微分から習うのですが、歴史的には積分の方が先に成立してる。
正確な論議を行うためには、微分から入った方がやりやすいし、微分の基礎である極限の話をしっかりしておかないと
積分で困るという話もあるので、まともに数学をやるときは、微分の方から入る方がいいと思うのだが
物理的、直感的には積分の方がわかりやすいと思うので、簡単な話(正確性を犠牲にした話)の場合は積分から入った方がいいとおもうからである。
積分の実用例。
積分の計算を計算として実際に行っているものとしては、飛行機などについているジャイロとか、いろいろ有るが
あまりなじみではないと思うので、ここでは、積分の原理を使っているものをあげたいと思う。
一番身近な例は、多分電気のメーターじゃないかと思う。
一度は電気のメータを見られたことが有ると思う。
真ん中で金属の円盤がクルクル回って、カウンターが動いているのをご存じだろう。
電力をたくさん使うと、電気のメーターの中を電流がたくさん流れる。
あの円盤はその電流の量に比例して回転速度が上がるようになっている。
で、それをつかって、カウンター(数字のメータ)をまわすことで、その期間に流れた電流の総量を計測している。
つまり、現在の流量(電流)を積算(積分)していった結果が電力量になるわけである。
ちなみに電力の単位kWhと書かれていますが、これはキロワットアワーと読んで、
1kWを1時間使用した量という意味。
つまり、消費電力1000Wのドライヤーを1時間使い続けると、1kWHとなる。
ちなみに、Wというのは、A(アンペア)×V(ボルト)の単位で、家庭用のコンセントは、100Vなので、
1000Wという場合、10Aの電流が流れている事になる。
同じ事は水道のメータにも言える
水道のメータはその内部に小さなスクリューが入っていて、水が流れるとそのスクリューがくるくる回る。
このスクリューの回転速度は何に比例するのかというと、それはそのとき流れている水の流速である。。
流速(たとえば1分間に水が何メートルながれたか)にその管の断面積をかけたものが単位時間に流れた水の量であることは明らかだろう。
したがって、このメータでは、管の断面積×流速を積算しているわけだ。
当然ガスメータにも同じ事が言えるというのは、もう蛇足だろう
つまり各種積算メータというのは実際にその流れた量を計測するのではなく、そのときの流量を積算することで計測しているというのが
わかって頂けたかと思う。
他にはどういう物が有るのか
シャープの1ビットアンプなどかもそう。
あれは、極短時間の電圧の変動量が正か負かという情報だけにして、その変動量をアナログ的に拡大することで
結果として増幅器としての動作を行うというもの。
つまり、直前から電圧が上がったか下がったかだけの情報を累積することで、音の波を表現しているわけである。
以上の様に、瞬間、瞬間の量を加算して、その量の合計を出すことが積分といえる。
つまり、「加速度を積分すると速度になる。速度を積分すると距離になる。」
電力量計では「電流×電圧を積分すると電力になる」と言える。
実はこの積分の原理を用いて車は走っている。
ガソリンが生み出すエネルギーは、タイヤの回転を加速することに使われる。
それによって車は加速され、速度を増すことで、距離が増えていくことで移動することができる。
積分しないと、タイヤの回転速度だけが増えて、全然前に進まない。
結局、どこで積分しているのかというと、タイヤが地面と接しているところである。
エンジンがいくらいっぱい回っても、タイヤが地面と接していないと車は前には進まないのは当たり前だろう。
つまり「タイヤは積分器である。」
積分が身近に感じられたら幸いである。
次回は微分の話に入りたいと思っている。
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