「ゲーム脳の恐怖」の恐怖

ちょっと古い話ではあるが、未だに、「ゲームをするとゲーム脳になって…」ということをいう人がいるので
まず、「ゲーム脳」徹底検証 トンデモ『ゲーム脳の恐怖』(1)というインタビューがある。
このページは、「と学会」の山本会長のインタビューである。
と学会とは、とんでも本研究学会のことで、
世の中にはびこるとんでもない本
定義としては著者の意図とは全く別に、その論理的な破綻や内容が笑える本
を研究している学会?であるが
ゲーム脳の本はこの学会でとんでも本であると認定されている。
もちろん「と学会」が認定すればそれはとんでもない本であるということであるかどうかというとそうは疑問ではあるが
少なくとも、これまでの「と学会」の認定した本はとんでも本といえるものばかりである。
で、どの辺がとんでもない内容なのかということについては、上記URLで山本会長がインタビューに答えて面白おかしく説明しているのでそちらをみてもらいたい。
また、他に精神科の医師 斉藤環氏の書評が冷静で面白い。

書評bk1「ゲーム脳」

以下のインタビューもいい味を出している。
斉藤環氏インタビュー
世の中には大学教授という人はたくさんいて、それだけで、なんでも専門家あつかいされるみたいだが、大学教授だったとしても、専門以外では全く素人である。
大学教授だからといって、F1で優勝できるわけではないのは当たり前。
しかしなぜか、専門以外のジャンルで本を書いても、専門家の書いた本という扱いをされてしまう様な気がする。
この本の著者の専門は運動生理学であって、脳神経ではない。
斉藤氏の書評をみてもわかるが、あきらかに素人である。
大学のwebでこの教授を調べてみると、論文の一つも書いていない、どうも体育教官の様である。
このゲーム脳の発表も自分が作った学会で口頭で発表しただけらしい。
本来研究者たるもの、ちゃんとしたレフェリーのいる学会誌に投稿し、審査を受けた上で公開されて始めて発表したことになるのだが、
これではなにも発表していないのと同じで、研究成果としては0である。
本を書くのは自由だが、それをあたかも専門家の様なふりをして、どうみても論理的に破綻しているものを発表するのは詐欺ではないだろうか。
最近は、この本で調子にのって、今度は「メール脳」などという言葉もつくり出しているみたいである。
それだけでも十分困った話なのに、あまつさえ、この人は
「ゲームをすると自閉症になる」とまで言ってしまったらしい。
ここまでいくと、もう、救い様がない。
自閉症は、先天的な障害であって本人の行動、環境、育て方で発症するものではない。
自閉症の子どもをもつ親は、もしかして、自分の育て方が悪かったのではないかという、強い自責の念をもつものであり、本来先天的にある一定の確率で発生する障害であって、親には責任は皆無であるはずなのに、そうとわかっていても自分が悪いと思ってしまうものなのである。
なのに、こういう無責任で、無知な発言が、世間に流れ、後天的原因があるかの如く誤解され、自閉症の子どもをもつ親をより一層苦しめることになることがわからないのだろうか。
調子にのってなんでもかんでもゲームが悪いといって墓穴をほってしまった形となったこの人、どうするつもりなのだろうか。
どうもこの人は自分のわからない世界に関わるのは、すべて認知症(痴呆症といわれていたものの今の名前)になってしまうみたいだ。
例としてプログラマがプログラムしているとき認知症の患者と同じ様な脳波になるなどといっている。
ある一定の頭脳活動をしているとき、脳の活動が低下するのは、脳がより習熟し、効率がよくなっていることを表しているらしい。
研究によると、脳の活動エネルギーを調べると、特定の作業をさせた複数の人間の脳の活動を測った場合、もっとも短時間で優れた結果を出した人の脳がもっとも活動していなかったという結果になったそうだ。
確かに、どんな分野でも、うまい人ほど無駄なエネルギーを消費しない。
そういう意味では、「ゲーム脳」というのはゲームに習熟し効率よくこなせるようになった状態であって、それは脳の活動としては当たり前のことだろう。
能力のある人間というのはきっと、何事においても素早くこういう効率的な状態にもっていける人なのだろう。
結局、どんなジャンルでも「ゲーム脳」の状態になるというのは、その活動に習熟していることを表していて、自分の脳をより早く「ゲーム脳」状態にもっていける人が優れた人ということになるのではないだろうか?
最近、英語に習熟するほど英語を考えるときの脳の血流量が減るという当たり前の研究結果があった。
英語力つけば「省エネ脳」に? 東大チームが実験
これも結局「ゲーム脳」状態と同じで、あえて命名すればきっと「英語脳」なのだろう。
「ゲーム脳」は恐いけど、「英語脳」だったら、なってもいいと思う人はたくさんいるだろう。(でも中身は同じ…)
私にとっては、「ゲーム脳」より、「ゲーム脳の恐怖」を読んで疑問を感じない人の方がよほど恐怖だ。

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